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矩計日記 
kanabaka.exblog.jp
2023/08/04
あまりの暑さに毎日ぐったりしている。でも娘は元気そうだ。児童発達支援も日によっては時間が長くなった。プールに入ったり屋内遊園地まで遊びに行ったりしているらしい。予定表を見てみると、イオンモールにおやつの買い出しとか書かれていて、なんか楽しそうだなとおもった。
昨日の夜、八時頃だったか、花火を打ち上げる音がした。窓の外を見ると、坂の上で四五人の大人や子どもが東の方を背伸びするようにして眺めている。「ちょっと見てくる」と妻に言い残して外に出ようとすると、「じゃじゃ馬やなー」と妻の声がしたが、振り返らずに外に出た。坂の上まで歩いて、よその家族と花火を見るのはなんとなく恥ずかしいので、坂をすこし上がったところから見た。目の前にある二世帯住宅が邪魔だったが、イオンのあるあたりから控えめで弱々しい感じの花火がチラッと見えた。二発だけ見て、すぐに家に戻った。

台所の蛇口を新しく取り換えてもらう。工事が終わり、業者の人が確認してくれというので見に行ったら、あいかわらず水の中に黒い細かな粒がほんのすこしだけ混じっていた。業者の人はすかさず「前はもっとたくさん出ていたんですよね」と念を押すように聞いてきた。数が減ったからいいだろうと言いたいのだろうか。どうやらこれでケリをつけようとしているらしい。原因は蛇口ではなく他にあるということが判明したようなものだったが、だれもそのことを口にしなかった。こっちもこれ以上の大がかりな工事は面倒だった。だから相手に合わせて事を終わらせようとおもった。そこからは話は早くて、お互いが協力しあってめでたく工事は終了した。最後に向こうも譲歩したのか、「とりあえずこれで様子を見てもらって…」と言った。様子を見るとはなんと便利な言葉か。もう何十年もこの仕事をしているのだろう。とてもなめらかにその言葉が男の口から出てくるのを聞いた。

# by kanabakari | 2023-08-05 01:23 | 雑記 | Comments(0)
2023/07/28
何の用もないけど大阪へ行った。ひさしぶりに街をブラブラしてみたかったのだ。子どもが生まれてからそんなことをする機会がまるでなかったので、前日の晩からすこし緊張していた。
天神橋筋商店街へ行った。とりあえずうどんで腹ごしらえをして、古本屋をのぞく。何も買えずに出てくる。またちがう古本屋に入る。そこにも欲しい本が何もない。どうも調子が悪い。古本が買えないことはよくあることだから気にならない。けれども、むかしは街をうろつくこと自体が楽しかったのに、今は何も感じなくなっている。歩くとどんどん気が滅入ってくる。
扇町公園のあたりを歩いていると、ホームレスのおじさんがうつ伏せで倒れている。この暑さで具合が悪くなったのかと思ったら、小さなラジオを耳にあて、ニュースを聴いていた。アナウンサーの滑舌のいい話し声が容赦なく響いている。
泉の広場はとても清潔な場所に変わっていた。かっぱ横丁もずいぶんすっきりとしていた。どこもかしこも小綺麗になってしまってつまらない、こんなとこ二度と来てやるもんかとおもいながらも、最後に紀伊國屋に入った。文庫二冊と単行本一冊を買う。そのうちの一冊、福田恆存『私の幸福論』(ちくま文庫)の奥付を見ると23刷だ。そんなに読まれているとは意外だった。女性誌の連載だったからか、非常にわかりやすくて読みやすい。けれども、「幸福」という言葉から連想されるような甘いことはいっさい書かれていない。私は「自由」や「平等」というものを信じていません、とはっきり書かれている。帰りの電車でウトウトしながら読んでいたら、ようやく元気が出てきた。

# by kanabakari | 2023-07-29 01:18 | 雑記 | Comments(0)
2023/07/22
娘に水を飲ませるとき、朝だけはいまだに赤ん坊のころと同じスタイルで飲ませている。まず自分が座布団の上にあぐらをかいて、そのうえに娘を座らせる。そしてコップの水をスプーンですくって娘の口までもっていく、というやり方である。小さい頃はそれでうまくいっていたが、いまでは相当無理がある。それでも何とか飲ますことができるので、ずっとそのスタイルでやってきた。今朝、いつもと同じように水をあげていたら、娘はおしっこを盛大に漏らした。まず娘のお尻からかすかな振動が伝わり、次に自分のジャージが濡れて、ふともものあたりがじんわりと温かくなった。それはやがて自分のパンツを濡らしながらふとももの裏側にまわり、座布団と敷布団を濡らした。アサガオに水やりしてるみたいだなと思った。

若いころに地元の図書館で山下達郎が小林信彦と対談しているのを読んだ。山下達郎はその対談の中で、小林信彦の小説(『イーストサイド・ワルツ』か『ムーン・リヴァーの向こう側』だったと思う)を昨日読んでましたと話していて驚いた。ぼく自身は小林信彦の小説を好んで読んでいたが、読者層がまったく想像できなかったのだ。それ以来、自分の中では、山下達郎は小林信彦の小説を読むような変わり者だというイメージがついて、それはいまも変わらない。
山下達郎が「ご縁とご恩」を大切にしているとラジオで話したという。「ご縁とご恩」なんて言葉、他の人が使うとなんだかなあという気持ちになるが、山下達郎が言うと自分にはとても響く。いっぽう松尾潔は、義理人情はたしかに重いが、その形は時代にあわせてしなやかに変わっていくべきだと語っていた。そんな都合のいい義理人情があってたまるものかと思う。時代が変わっても人の気持ちはそんなに簡単に変わらないものだと思う。

# by kanabakari | 2023-07-23 01:11 | 雑記 | Comments(0)
2023/07/16
朝から近くの古本市をのぞきに行こうと思っていたが、自治会の掃除に出たら暑さにまいってしまって急に行く気がうせてしまった。
三連休だというのに家族三人、家の中に閉じこもっている。たまに玄関のチャイムが鳴るとドキッとする。社会とのつながりが極端にすくないように思える。深夜、部屋の中に必ずといっていいほど登場するダンゴ虫を外に追い出すと、廊下は虫の死骸だらけだった。夜中でもセミは昼間と同じ音量で鳴いている。

台所の水に異物が混じるようになった。水をコップに入れると、底に得体の知れない細かな黒い粒が沈んでいる。パッキンが劣化しているのかもしれないと、蛇口の先に付けているシャワーヘッドをとってみたが、変化がない。
「こんな水、体にわるい。市役所に電話しよ。もうすぐ週末や、はやくはやく」と妻が言うので、渋々電話をかけた。
市役所のいつものおじさんが、作業服姿の男二人をつれてやってきた。水道の業者だという。
あらかじめどんぶり鉢にためていた水を見せて、「毎回というわけではないんですけど、こんなふうに底に黒いモノが沈んでいるんです」と説明する。ティッシュペーパーの上にのせて保管していた異物も差し出す。業者の人(偉いほう)はそれを指でつまむと「こんな固いモノが出てくるのはおかしい」と首をかしげている。たいていは劣化したゴムパッキンだから指でつまむと粉々になってしまうのだという。
一度水を出してみましょうと市役所の人が言うので、どんぶり鉢を業者の人(偉くないほう)にわたす。その人はごつい手でどんぶり鉢をつかみ取ると、豪快に、何の遠慮もなく我が家の水道水を出した。四人でどんぶりの底をのぞきこむが何も見えない。
偉いほうが「何もないですねえ」と警察官みたいな声で言う。もう一度同じことをくりかえす。「何もないですねえ」とまた同じ調子で言う。
三回目、四回目も何も出ない。「毎回出てくるわけじゃないんです」と言ってみるがだれも何も言わない。七回ほどくりかえしたときに、「あっ、出た」と偉いほうが言って、ホッとする。
結局蛇口をまるごと交換してもらうことになった。

新しい蛇口が付くまでに十日ほどかかるそうなので、近くのスーパーに水を買いに行く。サントリー天然水が山のように積んであるところから三本だけ抜き出す。徒歩なのでまとめ買いができない。水をいれたリュックを背負い、坂道をのぼっていると、戦後の買い出しの映像が頭にうかんできた。
娘にお茶のかわりに買ってきた天然水を飲ませる。妻も当然のように天然水を飲む。水はあっという間になくなってしまう。またすぐに買いに行くのがいやなので、ぼくは今までどおり水道水を飲んでいる。そのことを妻に言うと「せめて洗面所の水飲んだら?」と返ってきた。



# by kanabakari | 2023-07-17 01:15 | 雑記 | Comments(0)
2023/06/12
先日、支援学校の見学に行ってきた。その学校は実家の近くにあって、ぼくが子どもの頃は養護学校と呼ばれていた。建物はその頃とほとんど変わっていないように見える。老朽化がすすんでいるので、もうすぐ建て替え工事がはじまるらしい。
車で校門をくぐると、職員の人があちこちに立っていて、奥へ奥へと誘導される。いつも前を通りかかるだけなのでわからなかったが、中は意外と広い。校舎の周りをゆっくり走って行くと、いちばん奥に中ぐらいの大きさの運動場があって、そこに車を停めた。運動場の周りには竹がまばらに生えている。敷地外からは全く見えないせいか、とても静かで寂しい感じのするところだった。
娘を車椅子に乗せて説明会がある体育館に向かう。体育館にはすでにたくさんの人が集まっていたが、子どもを連れている人は誰もいなかった。そしてぼくらには市役所の担当の人が一緒に来てくれていたのだが、それもぼくらだけだった。みんな保育園か幼稚園に子どもを預けているのだろうか。
はじめに校長先生の話。マイクの音量が小さいのか、ほとんど何も聞こえない。仕方がないので、喋っている顔の表情ばかり見ていた。いい人そうなのはわかった。
つぎに学校案内の映像を見て、その後、質疑応答の時間があったが誰も質問をしなかった。説明会はそれで終わりだった。説明会の後に別室で個別の相談会が開かれるらしく、どうやらそっちがこの見学会のメインのようだだった。
「何か聞いておきたいことはないですか?」と市役所の人が妻に聞くと、妻は「とくに何も思い浮かばないです」と小学生みたいな返事をした。
相談会に行くべきか迷っていると、いつのまにか女の先生が五人ほどやって来て、娘の顔をのぞきこんだりした。女の先生たちはみんな驚くほどに愛想がよく、いい人そうに見えた。何か質問はないかとまた聞かれた。妻は突然いろいろと質問しはじめた。お父さんは?と言われてぼくも何とかひとつだけ聞けた。そのうちまた五人ほどの女の先生がやってきて、ぼくらの周りを囲む形になった。その間、娘はずっと顔を伏せていた。

# by kanabakari | 2023-06-12 00:31 | 雑記 | Comments(0)