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矩計日記 
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本棚を見る
整形外科に行く。診察を待っているあいだに待合室にある本棚をぼんやりとながめていた。高さ80センチほどの小さな三段の本棚。真ん中の棚にはマンガがある。『美味しんぼ』と『タフ』がそれぞれ十冊ほど左に傾きながらならんでいる。上段を見ると皇室関係の三冊が目立っている。下段には『ナルちゃん憲法』がある。詩集のような装丁の本があったので手にとるとそれも皇室関係の本。下段の隅のほうにどういうわけかカフカの作品集が一冊だけある。ぜんぶ院長先生の私物なのか、看護師たちが持ちよったものなのか、などと考えているうちに名前を呼ばれた。ブックファーストのカバーがかかったままの二冊がやや心残り。

いつも行っている散髪屋の本棚は『週刊ポスト』のバックナンバーがたくさんある。なるべく古いものをさがして二、三年前の芸能記事を読む。一ヶ月前の芸能記事だと古臭くて読む気にならないけど、二、三年前までさかのぼるとなかなか味わい深く読めてしまう。そのほかの本は古本屋の均一台のようにザックバランにならんでいるが、それでも店主の好みはすこしわかる。小林よしのりと産経新聞もある。店主が客と政治のハナシをはじめるとぼくはすこし緊張する。

以前、親戚の家が火事で焼けたときに、後片付けを手伝いに行ったことがあった。半焼だったので、部屋の中に残ったものをぜんぶ外に出す、という作業だった。ちょうど真夏のころで、蒸し暑さと異様な焦げ臭さのなかでの作業は息苦しくてかなりきついものだった。家の二階には焼け残った本棚があった。どの本も消防車の撒いた水でぬれていた。うしろめたい気もしたが、どんな本を読んでいたのかと、作業の手を止めて見てしまった。どんな本があったのかほとんど忘れてしまったけど、思想関係の本がたくさんあったことだけは覚えている。水にぬれて膨らんだマルクスやエンゲルスの本を片っ端から外に運んでいると、「焚書」という言葉が思い浮かんだ。
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by kanabakari | 2011-06-20 00:55 | 雑記 | Comments(0)
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