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矩計日記 
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金剛寺
『小沼丹作品集Ⅰ』の中から「登仙譚」を読む。
ここにでてくる「河内の國なる金剛寺と云ふ山寺」というのは、天野山・金剛寺のことなのだろうか。
金剛寺には数年前に訪れたことがある。
京都から電車を乗り継いで南海電車の河内長野駅まで行き、そこからバスに乗った。二十分ほど乗って天野山というバス停で降りた。山の中にある静かなバス停だった。
けっこう広い境内だったが参拝客は誰もいなかった。お堂の階段をあがり、格子の外からうす暗い堂内を覗き見ると、大きな大日如来がどっしりと坐っていた。その両脇には隆三世明王と不動明王がいた。あまりの迫力に息をのんだ。
目を凝らしてじっと見ていると、入り口の受付にいたおばさんがやってきて、何も言わずにお堂の灯りをつけてくれた。
大日如来が鈍く光った。
自分ひとりのためだけに灯りをつけてもらうのはもったいないと思った。
おばさんは灯りをつけたあとお堂の奥へ入ったようだった。このまま黙って帰えってしまってもいいものか。おばさんはまたここに戻ってくるのか。考えてみてもわからなかったがしばらくそこで待っていた。
十分ほどするとおばさんが戻ってきた。礼を言うとおばさんは、「わざわざそれだけのために待っててくれはったんですか」と言った。
「いえ、そんなわけでも・・・・・・」と答えてから帰った。
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by kanabakari | 2010-11-30 02:31 | | Comments(0)
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