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矩計日記 
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西方寺の阿弥陀さん
阪急の烏丸駅の構内を歩いていると、お寺の写真がたくさんあるポスターに目がとまった。どうせいつものライトアップだろうと思いながら近づいていくとそうではなかった。
京都のさまざまな寺社が、非公開の文化財を特別公開中だという。期間は14日までで、その数20ヶ所ほど。あまり何も考えずに知恩院に行くことに決めた。

市バスは割りこんでくる車に果敢にクラクションを浴びせつつ、あっというまに知恩院前に到着した。境内は工事中で騒がしかったが、本堂のなかにはいると、前に来たときとおなじようにお坊さんがひとりで読経をしている最中だった。退屈なので早々に退出し特別公開をさがしてみたが案内がどこにもでていない。休憩所に入ってみても、ぼんやりとしたみやげものがぼんやり売られているだけで手がかりナシ。外に出ると朱印を受け付けているところがあったのでそこで尋ねてみると、すでに公開は終わったとのこと。14日までと思っていたら場所によっては日程が違うのだという。チラシをよく見ると、たしかに7日までという小さな文字が見える。うーん、残念。でも、あんな小さな字で日程を書かれてもなあ。わたしのような暇な人間ならいいけど、時間の限られた観光客だったらもめたりしないのかな。

せっかくなのでどこか他のお寺に行ってみたい。なるべく近いところでないものか。さっき知恩院でもらったチラシをにらんでいると西方寺というお寺があった。場所は東山通の仁王門を上がったところだ。ここなら14日までやっている。すこし紅くなってきた東山を右に眺めながら東山通を北へ歩く。15分ほどで到着。

公開期間中は拝観料800円ということですこし高いと思ったが、京都古文化保存協会の人が丁寧に説明してくれるのでそんなもんかと納得した。この説明をありがたいと思うか煩わしいと感じるかは、説明してくれる人によるんだろうなあ。わたしは本来ならひとりで好き勝手に観ていたいほうだが、今回はありがたく拝聴した。案内役の人たちはみな若くて、すごく一所懸命に説明してくれる。その姿を見ていると、ほんとうにこういう古い文化財がすきなんだろうなあと思えてきてとてもすがすがしい気分になったのだ。

本尊の阿弥陀如来は寄木造りの丈六坐像で平安時代の作。しずかな雰囲気だが光背がにぎやかだ。三千仏光背というのだそうで、たくさんの小さな化仏がびっしりくっついている。そして、その化仏よりすこし大きい十三体の仏が光背の円に沿って配置されている。かなり見ごたえがあった。
両脇侍の観音菩薩と勢至菩薩もきれいな顔立ちだ。金箔の色がうっすらと黒くなっているのがシブくてよかった。
この三尊像、小さめのお堂によく合っている。ここ西方寺は昨年はじめて一般公開されたらしい。こんな立派な仏像が、街のなかで人知れずいたのだなあ。門を出て、ひっきりなしに車が行きかう東山通を見ていると不思議な気持ちになった。
by kanabakari | 2010-11-12 22:13 | | Comments(0)
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