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矩計日記 
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追悼特集・名優 森繁久彌 
シネ・ヌーヴォで上映中の「追悼特集・名優 森繁久彌」を観に行った。
7月17日から8月27日までの期間で50作品が一挙上映されるという。

きょうは『社長三代記』、『続社長三代記』、『社長太平記』の三本を観る。上映前のわずかな時間、薄暗い館内の座席に身を沈めて、朝の十時半からこんな暢気なものを観るなんて朝から湯につかるような後ろめたさがあるなあと思ったりした。ところが始まってみるとそんな気分も吹き飛ぶほどにすごい映画なのだった。

森繁久彌の演技は見ていて疲れない。ドタバタの場面も大いにあるのだが、喜劇特有の大げさな芝居でこちらが照れくさくなることもない。とにかく画面に森繁が登場するだけでうれしくなる。「戦後最大の名優」とチラシに書かれているのも頷ける。

この「社長」シリーズには森繁久彌以外にもうまい役者がたくさんでてくるのだが、そのなかでも三木のり平の持つ独特の雰囲気には魅せられた。とにかく格好いい。細身の小柄な体型にテカテカした細面の顔。詐欺師ということばがぴったりな目の動き。どこかからヒョイと抜け出てきたような軽さと、体の中を常に風が通り抜けているような粋な感じにはゾッとするぐらいだった。

『社長三代記』のなかで、森繁久彌と三木のり平の二人が組んで見せる宴会芸のシーンには興奮した。芸者の三味線と酔客の唄声に合わせて、背広を逆さに着たふたりが腰を落として踊る。幼稚園児のように見える。あの芸は何か元があるのかな。よくわからないけど、澄ました顔で踊っているのがくだらなくて最高だった。日本映画屈指の名場面。
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by kanabakari | 2010-08-07 21:58 | 映画 | Comments(0)
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