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矩計日記 
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もちいどのセンター街にて
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 きょうも休日。雨も降っていない。何故かしらん急に奈良の古本屋に行きたくなる。京都駅で近鉄電車に乗り換えるときには、すっかり旅気分。奈良へ行くときはいつもいい気分になる。あっという間に近鉄奈良駅に到着。
 奈良はいいなあ。関西でいちばん好きかもしれない。お寺があって仏像があって鹿がいて、最近はせんとくんもいる。せんとくんはこのところすっかり人気ものに成り下がってしまった。気味悪がられていた頃のほうが輝いていたようにも思える。でも前回奈良へ来たときには、せんとくんグッズ(携帯ストラップとミニトートバッグ)を購入している。きょうも商店街を歩いているときに、だっこちゃん人形のせんとくん版を発見。もういい加減にしろよとあきれながらもこっそり欲しいと思ってしまった。
 
 フジケイ堂の場所がわからなくて、もちいどのセンター街を行ったり来たりしていると、向こうから桂きん枝さんが歩いてきた。選挙活動中らしい。握手を求めて集まるひと達。きん枝さんもやさしく声をかけている。その姿がテレビとどこか違っている。なんだかひとまわり小さく見える。それなら声はどうか。声のほうはテレビとほぼ同じだった。いっしょや、いっしょ~と喜んでいると、ひとだかりの向こう側に、フジケイ堂の看板を発見。なんや二階に店舗があったんかと直進しようとするが、小さな記念撮影会がはじまっていたので、しばらく静観することに。背後から「あのひと、落語もできるらしいで」という辛辣なつぶやきが聞こえてくる。
 
 きん枝を乗り越え、階段を駆けあがり、ようやくフジケイ堂に到着。店内をゆっくりと見せてもらう。いい本がたくさんあった。しかも安い。全集をバラ売りしているのもありがたい。
 本を選んでいると、高校生くらいの男の子が入ってきて、近松門左衛門はありますかと、店番のおばさんに聞きだした。なんでこんな若いのにと驚いたが、いろいろ事情があるのだろう。しかし、この店に近松は置いていないらしく、おばさんは他の支店に問い合わせたりして懸命にさがしている。しばらくして、小学館のならありますけどという返事が。よかったあ、見つかって。他人事ながらうれしくなった。
 しかし、最近の高校生は慎重かつ冷静である。「心中天網島」は収録されていますかなどと、なかなかシブい念押しをしている。「シンジュウ、テンノ、ア・ミ・シ・マ」と、おばさんは言われたとおりを電話の相手に伝えようとしているのだが、相手の方は漢字がわからないようだ。「シンジュウってほら、あの一家心中の・・・」という物騒なやりとりには、近くにいたおじさんもわたしも思わず吹きだしてしまった。
 
 そんなフジケイ堂で買ったのは、和田芳恵『ひとつの文壇史』(新潮社)、福原麟太郎『文学と文明』(文藝春秋)、庄野潤三『野鴨』(講談社)といずれも読んでみたかったものばかり。
 
 その後、智林堂書店にて、尾崎一雄『暢気眼鏡』(新潮文庫)、泉鏡花『薄紅梅』(中公文庫)、野口冨士男『かくてありけり』(講談社)を購入。ようやく心も落ち着いてきたので、本の入った重たい袋をうれしそうにぶらぶらさせながら、再び近鉄電車で京都に戻ってきた。
 
 
by kanabakari | 2010-07-04 21:53 | | Comments(0)
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